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Sho Sugiyama|杉山翔のブログ。自由に書きます。

野村證券を3年半で辞め、25歳で起業して2年間やってきて今思うこと

      2014/05/17

もうすぐ起業して2年が経とうとしています。
今僕は27歳、もうすぐ28歳になる年です。
野村證券という会社で3年半働き、それから起業してこれまでやってきて思うことを書き留めておきたいと思います。
長くなりそうですが。

壁の向こう側

「起業する」ことに対する憧れというのは、昔からあった。高校生や大学生の頃から、ただ漠然と「将来は起業したいな」なんて思っていた。でも、当時の自分は、そんななんとなくの憧れじゃ何もできないことも分かっていたし、ごくごく普通の、平凡な人間であることも分かっていた(今もですが)。
きっとそんな漠然とした憧れを持っている人は、僕だけじゃなくてたくさんいると思う。

授業にも出ず、遊びとアルバイトとクラブ活動だけに大学生活の全てを捧げたごくごく普通の大学生だった僕は、学歴と時代が良かった(2007年に就職活動をしました)のを良いことに、ろくに就職活動もせず、たまたま運良く内定をくれた野村證券という会社に入社した。

当時の僕は、大学4年生であるにも関わらず、証券会社というのが何をしているのかも全く理解しておらず、ただ噂で「とても厳しい会社」だということしか知らなかった。それは入社するまでそうだった。(実際、当時は、入社するまでに何を勉強したらいいですか?と聞いたら、とにかく遊び、学生のうちにしかできない人生経験をたくさん積んどけ、と言われた)普通の大学生よりもひどいかもしれない。

そんなごくごく普通(以下かもしれない)の大学生の就職先として、野村證券という会社は本当に素晴らしい会社だったと思う。僕と同じような、将来何をしたいのか分からない、とか、漠然としかイメージできていない、とか、そもそも何も考えていない、といった大学生は、日系の大企業に就職するというのは、良い選択肢の一つだと思う。

そんなこんなで僕は野村證券に入社し、入社と同時に神戸支店に配属となった。
野村證券という会社は、覚悟していた以上に厳しい会社だった。
相当の覚悟をしていたけど、想像上の覚悟なんて、たいしたことないんだなと思い知った。それぐらい辛かった。
その話はここではしないけど、僕はそんな中で、幸運なことになんとかやっていくことができた。
2年目、3年目となるうちに、良くも悪くも僕は会社に染まっていき、いつのまにか僕の中では会社が世界になり、その世界の中で上を目指すことが僕の目標になっていた。この頃から、今会社を一緒に経営している幸太郎さんとは、起業しよう、何か事業を立ち上げよう、という話はしていたのだけれども、当時神戸にいた僕は、本音を言うと、話半分どころか、女の子とのデート中の会話くらい身を入れずに話をしていたような気がする。

そんな社畜生活を辛いながらも満喫していた僕は、3年目の後半、25歳になる位に営業とはまったく関係ない、東京の本社にある部署に異動した。この辺りの話もいつかしたいなと思っている。
新しい部署は、別の会社に転職したんじゃないかと思うほど、文化も風土も、人も、仕事内容も違った。
当時の上司の存在はすごく大きかったと思う。
僕の経歴からちょっと調べれば分かってしまうと思うので、あまり変な隠し方はしないけれど、僕は上司のパシリのような形で、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズの方々と関わることができた。僕の上司もその一人ではあったが、ここで会った人たち、ここにいる人たちは、基本的にはみんな「壁の向こう側」の人たちだった。
僕はこの時、「壁の向こう側」に憧れていたことを思い出し、また、初めてリアルに「壁の向こう側」の人たちを知った。(なんだか進撃の巨人みたいだな笑)上司にとって僕はただの普通以下の生意気なクソガキだったと思うけど、やっぱり僕にとって彼女の存在はすごく大きい。

大学生を相手に講義・講演をするというのも僕の主な仕事の一つだったので、それが今のビジネスに結びついているのはもちろんあるし、会社に対する不満とか不安が無いなんてことはない。震災も起こり、その対応もやっていた。その中で思うこともあった(実際、僕が幸太郎さんにもうやっちゃおうよと言ったのは、業務で行っていた福島での1週間のボランティア活動中だ)。
まだ25歳、3年やって失敗してもまだ28歳、今しかできないっていう気持ちもあった。
とにかく色んな理由があって、僕は野村證券という会社を辞め、独立したわけだけど、自分の心の深い部分に聞いてみれば、当時の僕を動かした原動力は、「壁の向こう側」への憧れだったと思う。
なんでもいいから、自分で事業を興し、経営する「壁の向こう側」の人になりたかった。

退職、起業

2年前、2011年の9月に僕は野村證券を辞め、10月にUnistyle(ユニスタイル)株式会社を設立した。
一緒に立ち上げた幸太郎さんが伊藤忠商事で働きながら書いていた就活ブログがすごいアクセスを集めていたのと、僕自身が小学生〜大学生、教授や先生たちを相手に仕事をしていたこと、二人ともキャリアや教育に関しては興味があり、問題意識もあったので、キャリアに関わるビジネスをしていくことにしていた。僕が仕事で関わっていた大学生や教授の話を聞いていても、ニュースを見ていても、就職活動まわりに多くのニーズがあることは分かっていたし、今書いたように、二人がそれぞれ幸いそれなりにそこにも関わってきたので、まずは就職活動、新卒採用でのビジネスを展開することに決めた。

もちろん、そんな問題を抱えた就職活動生たちの役に立ちたいという思いから立ち上げたサービスではあったが、やっぱり自分の心の奥まで辿ると、「壁の向こう側」に行きたかったという思いが強かったと思う。

僕はビジネスというのは、誰かの役に立っていない限りはそもそも成り立たないし続かないものだと思っているし、収益が上がる、ユーザーが増える、というのは即ち、より多くの人の役に立っていることだと思っている。

そういう意味では、「(事業を)何かやろう」と言った時に、崇高な理念とかビジョンなんて、持っていなくてもいいんじゃないかと僕は今でも思っている。もちろん、そういう素晴らしい理念を持って事業をやっている方々は本当に尊敬するし、この理念とかビジョンというのは、2年経った今まさに僕が悩んで考えていることの一つではある。

堀江貴文さんが、仮釈放後に書いた『金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?』の中でも次のように言っている。

ビジネスを始めるために建前としてキレイ事を語る人は多い。しかし、ビジネスを始めるきっかけとして、欲望があるのは当然だ。

使命とか崇高なものはないと思うんですよね。後悔しないようにやりたいようにやりたいことをやればいいんじゃないですかね。みんな考え過ぎなんですよ。プライドが高いんでしょうか。

そんなことを考えながら立ち上げた就職活動支援サイトunistyleは、立ち上げ当初の多くの困難(これについてもいつか話したいと思っている)や、何度かのリニューアルも経ながら、順調に成長し、2年(正確にはリリースから1年10ヶ月)経った今、
会員数は約3万人、そのうち有料会員数は約5,000人、ピーク時のアクセスは、月間で250万PV、訪問数は30万を超えるまでになった。
少しでも多くの学生にとって役に立つサービスであったら嬉しいです。まだまだ多くの問題点、改善すべき点もあるので、粛々と改善していきたい。

まだまだできて間もないサービスで、知名度も全然ないけれど、たまに学生と話していて、「まわりの友達みんな使ってましたよ」とか「自分も使っていて役に立った」と言われると、すごく嬉しい。この嬉しさは、自分でサービスを創った人間じゃないとリアルに分からない感覚なのかもしれない。
ここに、この先のやりたいことの大切な要素が詰まっていると思っている。

今の収入や生活、働き方

僕はなんでもかんでも包み隠さず本音で話してしまうので、「なんで大企業を辞めて独立しようと思ったのか?」と同じくらいいつも聞かれる「で、実際今どうなのよ?」というのも本音で改めて振り返ってみたい。

もうすぐ2期目が終わるわけだけれど、unistyleに関連する売上は全部で2,500万円に届かないくらいに着地すると思う。
1期目の約2倍。
悪くはないけど良くもない数字だ。

実際の数字は知らないし、興味もないけれど、起業してもうまくいかないことの方が多いという意見からすれば、良いのかもしれない。また、巷で話題のスタートアップのように、売上・利益はまったく上がっていないにも関わらず、知名度は高い、といったサービス・企業よりはある意味では成功していると言えるのかもしれない。(この辺も同様に僕を悩ませているものの一つだ。彼らに僕は結構な憧れも抱いている。)

2人で100万円の資本金からスタートし、僕にいたっては貯金すらない状態で、ここまでこれたのは、ひょっとするとすごく幸運なことだったかもしれない。今の自分が、2年前の自分に会ったら、起業するなんて止めとけと言うと思う。
原価もほとんどかかっていない。原価率は10%もない(決済の手数料と、サーバ代、運営管理費くらいしか発生しない)。

実質的には、年収1,000万円くらいの人と同程度の収入・生活レベルができるだろう(もちろん、実際の年収はもっと低い)。

そう考えるとやっぱり悪くはない。一応、カネもツテもコネもなく、その世界(インターネット及び新卒まわり)についても無知の状態からスタートした1期目からきちんと売上は上げ、2期目はその売上も倍以上だということを考慮すると、尚更悪くはない。横に広がる事業はまだほとんど何もしてもいないので、色んなこともできるだろう。

もちろんこの先一気にダメになることもあるだろうし、このまま順調に伸びていくかもしれない。

ただ、いずれにせよ、僕の中にはなんだかモヤッと「良くはないんだよな」という気持ちがうずまいていた。

さらに、現時点では2人で十分に運営をしていけているし、unistyle事業に関して言えば、僕ら2人の時間は有り余っていると言える。実際には、新しいことだったり、開発の勉強だったり、関係ありそうで関係ないことだったり、関係なさそうで関係ないことだったりと、いろいろなことをしていることにはしているが、今のunistyleを純粋に運営していく時間だけ見れば、どんなに多くても週に10時間もあれば十分な感じだ。4,5時間位しか時間を使っていないと思う。時期によってはそんなにも使っていないかもしれない。また、ネットさえ繋がっていれば、日本中どこでだって、世界中どこでだって仕事ができている(この後書くが、僕は6月の1ヶ月間をNYで過ごしている)。

今の僕は、そんな働き方をしながら、今話したような売上を上げ、収入は得ている。

ひとまず、僕は、曲がりなりにも「壁の向こう側」へは行くことができたのだと思う。

でも色んなモヤモヤっとした気持ちが、今年の1月、2月くらいから生まれていた。今年の1月、2月はunistyleの売上が一気に跳ね上がった時期で、会社の財務にも僕の心にもちょうどすごく余裕ができた時期だ。幸か不幸か分からないけど、余裕が生まれるということは、余計なことを考えることができるようになるということだ。
会社を辞めた時もそうだった。

自分が一番やりたいこと

僕は3月に1週間程シンガポールで、6月には1ヶ月程ニューヨークで過ごした。他にも、親孝行だろ?と思いながら、実家で1週間程過ごすということも何回かやった(両親には歓迎されなかったが)。

27歳にもなって、やりたいこと探し、自分探しの旅にでも出たような感じだ。

こんなことができるのもすごく幸せだなと思いながら、僕は観光もせずにのんびりと過ごした。たぶんこれは、僕が高校生、大学生の頃、なんとなく憧れていた「壁の向こう側」の生活の一つだったと思う。でも、実際、そんな壁の向こう側にいったところで、何も満たされないし、面白くもないというのはすぐに気がついた(というか、海外に行く前から自分でも分かっていた)。

僕は海外ではのんびりモヤッと過ごしたし、日本ではモヤッとたくさんの本を読んだ。本は、経営者が直接書いたものに絞って、とにかく読んだ。DeNA創業者の南場さん、グリーの田中さん、サイバーの藤田さんなど、日本を代表するインターネット企業の創業者の本、ファーストリテイリングの柳内さんや楽天の三木谷さんはもちろん、最近上場した企業の経営者の本まで、とにかく知っている企業、魅力的な企業の経営者の方が直接書いた本は読んだ。

本当にやりたいこと探し、自分探しの旅だ笑。

そして、答えから言ってしまうと、僕はなんとなくだけど、これから先やりたいことを見つけたような気がする。

お金について

「自分が一番やりたいこと」を考えるにあたって、お金のことについても少し考えてみたい。
僕はお金が好きだ。

もちろんお金では得られないものがたくさんあるのは知ってるけど、お金がないと得られないものはきっともっとたくさんあると思っている。だから僕は、一元的に、お金じゃないよという人は嫌いだ。

こんなこと言うのはすごく恥ずかしいんだけれど、起業する時の大きな動機の一つとして、お金持ちになりたい、というのがあった。幸太郎さんともよく2人で、金持ちになりたいなあと話していた(まわりの同じ大学の人たちと比べて、お互い裕福なわけではない家庭環境で育ったことも影響しているかもしれない)。

そして今、僕は、お金じゃないよと思っている。
大してお金も持ってすらいないのに。

unistyleの今の事業だって、ただ単に稼ごうと思えば、今のもう倍くらいは簡単に読めるだろう。でも、今の僕にはお金のためだけに事業をしていくことはできない(「今の」というか、ずっとそうだったかもしれない)。また、立ち上げた時からずっと話してはいたけど、この事業をずっとやっていくつもりもない。だからこそ悩んでしまったんだろう。きっと元々「本当にやりたいこと」ではなくて、そのための「手段」だったんだと思う。

自分の全てを捧げてもいいと思える仕事に出会えたら、それがきっと一番の幸せだろう。きっとそういう人たちも周りにはたくさんいる。

お金とやりたいことについての考えは、あまりまとまっていないので、またいつか話そう。

後悔しているか

「辞めたことを後悔しているか?」というのもよく聞かれる。幸い、「一度も後悔したことないんですよ」というのが僕の答えだ。

もちろん、野村證券にいた「ならば」のメリットとデメリットも十分分かっているつもりだ。それでも、今のところは、一度も後悔したことはない。起業して本当に良かったと思っている。

最近初めてちょっとさみしいなと思っていることがある。ドラマ『半沢直樹』の主人公半沢(堺雅人)と、同期入社の渡真利(及川光博)、近藤(滝藤賢一)の関係だ。あのやり取りを見ていると、なんだか懐かしい気持ちと、寂しい気持ちになってくる。

大きな組織の中で、仲間と一緒に上を目指していく。もちろんその仲間がライバルでもあり、一人、一人とその道から外れてはいくわけだけど、その過程で生まれる信頼関係というのは、何にも代えられないものだろう。

でもきっと、そんなものは、これからいくらでも創れるものだと思っている。これも、本当にやりたいことを考える上で、大切な要素だ。そのためには、共有できる大きな目標とかビジョンや理念、何より、皆で本気で取り組む価値のある何かが必要なのかもしれない。

2年間

もうすぐ起業して2年経つ。
僕は、2年というのは、本気で過ごせば、その世界の全体像を知り、先を見るには十分な期間だと思っている。

大学時代のクラブでは僕は2年生の終わり頃から本気を出して練習を始めた。それから先の2年間はほとんどそれしかやってこなかったと言ってもいい。悲しいことに、大学生活の終わりになる頃になってようやくその世界のことを知ったように思う。

野村證券に入社してからは、何も分からなかったけど、とにかくガムシャラに働いた。僕にはストイックという言葉はとても似合わないけど、幸運なことに、3年目になる頃にはいろんなことが見えてきたと思っている。

そして今、起業して2年が経とうとしている。先のステージを見据えるには十分な時間だ。

これから

今の僕には、まだ色んな選択肢があると思っているが、これからも起業家として生きてくつもりだ。

この数ヶ月間、うだうだ考えていた僕が今やりたいことはこんなことだ。結構本気で考えている。

・人々の暮らしや生活にリアルに結びついて、その暮らしや生活が便利であったり幸せになるようなサービスであり、エンドユーザーがはっきりと見え、そのユーザーが最大多数になるようなサービスを展開する(インターネットに限らない)。

・自分自身がそのサービスを展開していくことが何よりも楽しくてしょうがないと思い、そう思える仲間と事業を展開する。

・全員が同じ目標に向かって情熱を持ちながら全力で取り組み、高いレベルでのコミュニケーションが取れる喜びを全員が共有できるような組織を創る。

DeNA創業者の南場智子さんの『不格好経営』は今年読んだ本の中で抜群に面白かったが、その中に、こんなフレーズがあった。これは近いかもしれない。

同じ目標に向かって全力を尽くし、達成したときのこの喜びと高揚感をDeNAの経営の中核に据えよう。互いに切磋琢磨し、ときに激しく競争しても、チームのゴールを達成した時の喜びが全員に共有され、その力強い高揚感でシンプルにドライブされていく組織をつくろう。そう決めた瞬間だった。

unistyleも、もっともっと多くの大学生が使ってくれるようなサービスにしていきたい。

おそらく今月中に、個人的にも新しいサービスをリリースする。これもひょっとすると、これからの自分をどこかに進めてくれるきっかけになるかもしれない。

2年後は30歳目前。
まだ20代だ。まだまだ若い。
2年後はどんな世界を見ているのか楽しみだ。


 - コラム・エッセイ, 仕事, 日記

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Comment

  1. 金近歩 より:

    とても為になる記事でした。
    現在、私は起業活動に携わっておりますが、まだまだ資金繰りが大変な段階です。
    どうしても、お金を稼ぐことばかりと考えてしまい、どこか違和感がありました。
    この記事を読んで、
    全員がゴールを達成したときの喜びを共有できて、その高揚感に向けてドライブできる組織を作りたいと、私も強く感じました。

    そんな組織の作り方もゆくゆくは記事にして頂ければと思いました。

    また、世の中に、そんな会社が増えていけば良いと感じました。

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